一等地に店を出せば、繁盛する。
駅前、大通り沿い、人通りの多い商業施設。
飲食店経営において、立地が重要であることは間違いありません。
しかし、ここで一つ質問があります。
あなたが目指しているのは、売上の高い店ですか? それとも、利益の残る店ですか?
この問いに対して、興味深い答えを示しているのが、全国に展開するうなぎ専門店「鰻の成瀬」です。
そして、私たちHILLS BOWL(ヒルズボウル)も、実際の店舗運営を通じて、同じ考え方にたどり着きました。
今回は、鰻の成瀬の出店戦略と、HILLS BOWLが大阪・心斎橋の一等地で経験したことをお話しします。
01|『鰻の成瀬』が実践する、二等地戦略。
鰻の成瀬の出店戦略で注目したいのが、二等地・三等地や居抜き物件の活用です。
一等地にこだわらず、家賃や初期投資を抑えられる物件を選び、コスト構造を最適化しています。
この戦略が成立する理由の一つは、うなぎという商品の特性です。
「今日はうなぎが食べたい」
そう思ったお客様が、自ら店舗を探して訪れる「目的来店型」の商品です。
つまり、お客様に選ばれる理由があれば、必ずしも一等地である必要はありません。
固定費を抑え、その分を商品の価値に還元する。
品質と価格のバランスを高め、顧客満足度(CS)につなげる。
この合理的な経営戦略には、学ぶべきことが数多くあります。
02|家賃60万円と20万円。その差は年間480万円。
例えば、二つの物件があったとします。
| 家賃 | 一等地 | 二等地 |
|---|---|---|
| 月額家賃 | 60万円 | 20万円 |
| 年間家賃 | 720万円 | 240万円 |
※戦略を説明するための仮想例です。
その差は、年間480万円。
この480万円を広告宣伝、食材の品質向上、スタッフの待遇改善に使えるとしたら、どうでしょうか。
もちろん、一等地には高い集客力があります。
しかし、その家賃に見合う利益が残らなければ意味がありません。
良い場所を借りるための480万円か。
良い店をつくるための480万円か。
経営者なら、一度は考えたい選択です。
03|一等地のBIGSTEPより、二等地の堀江の方が売れた。
ここからは、HILLS BOWL自身の実体験です。
私たちは過去に、大阪・心斎橋の大型商業施設「心斎橋BIGSTEP」の1階路面で、複数回のポップアップ販売を行いました。
場所は、ゴンチャの店舗の目の前。
非常に人通りが多く、実際に行列ができる場面もありました。
一等地の集客力は、やはり圧倒的でした。
しかし、結果は意外なものでした。
BIGSTEPよりも、家賃が半分以下の堀江本店の方が、売上を大きく上回ったのです。
その理由は、デリバリーにありました。
04|雨が降ると売上が下がる店。雨が降ると売上が上がる店。
BIGSTEPでの販売は、店頭が忙しくなるほど、デリバリーに対応する余力がなくなっていきました。
さらに、大きな影響を受けたのが天候です。
晴れた日は売上が好調でも、雨が降ると人通りが減少し、売上が大きく落ち込むことがありました。
一方、堀江本店では、逆の現象が起こります。
雨が降ると、デリバリーの売上が大きく伸びるのです。
外出を控えるお客様が、自宅や職場から注文してくださる。
同じアサイーボウルを販売しているのに、
一等地では、雨が売上を下げる。
堀江では、雨が売上を上げる。
この違いは、売上をつくる仕組みにありました。
05|一等地の弱点を、二等地の武器に変える。
HILLS BOWL堀江本店では、店頭が落ち着くアイドルタイムを、デリバリーの売上に変えています。
一等地では店頭対応で手いっぱいになる時間も、二等地では厨房設備やスタッフの余力を活用できます。
その結果、固定費を抑えながら、一等地を上回る売上を実現しました。
高い家賃を払って、人通りで集客する。
低い家賃で、時間と設備の余力を売上に変える。
もちろん、二等地ならどこでも成功するわけではありません。
商圏、競合、商品力、デリバリー需要。
それらを見極めたうえで、集客の仕組みを設計することが重要です。
06|鰻の成瀬とHILLS BOWL。共通する顧客還元の考え方。
鰻の成瀬は、固定費を抑えることで、高品質なうなぎを手頃な価格で提供することを目指しています。
一方、HILLS BOWLも、固定費を抑えることで生まれた経営余力を、商品づくりやサービス、お客様への価値の還元につなげています。
鰻の成瀬は、固定費を下げて品質を高め、CSを獲得する。
HILLS BOWLは、固定費を下げて顧客に還元し、CSを獲得する。
業態は違っても、目指す方向は共通しています。
そして、その積み重ねが結果につながりました。
HILLS BOWLは、約4,000店舗を対象とするmenuのリピートランキングで、第1位を獲得しています。
一度売れることよりも、何度も選ばれること。
私たちは、そこに飲食店経営の本質があると考えています。
07|浮いたお金を、何に使うか。
一等地への出店が悪いわけではありません。
実際にHILLS BOWLも、BIGSTEPでその集客力を実感しました。
しかし、立地は成功するための手段であって、目的ではありません。
HILLS BOWLでは現在、この考え方をフランチャイズや既存厨房を活用するゴーストレストランの展開にも取り入れています。
新たな固定費をできるだけ増やさず、既存の設備や時間を活用して売上をつくる。
その先にあるのは、経営の余力と顧客満足度の向上です。
最後に、飲食店を経営する皆様へ。
あなたなら、浮いたお金を何に使いますか?
広告費?
スタッフへの還元?
それとも、商品の品質向上?
正解は、一つではありません。
しかし、確かなことが一つあります。
その選択が、お店の未来を変える。
HILLS BOWL
大阪・堀江発のアサイーボウル&サラダボウル専門店。
実店舗の運営経験をもとに、フランチャイズ、ゴーストレストラン、飲食店の集客・経営支援を展開しています。
